適正在庫とは?
適正在庫とは、必要な供給水準を保ちながら、保管・調達・廃棄などの負担を考慮して決める在庫の水準です。商品、拠点、時期によって変わり、すべてに共通する一つの計算式や固定数量があるわけではありません。

「安全在庫+発注量」を万能な式にしない
安全在庫に1回の発注量を足した値は、一定の仮定のもとで補充直後の手持在庫の目安になります。しかし、それが常に適正在庫や平均在庫になるわけではありません。
例えば、需要が一定、まとめて瞬時に入荷、欠品なしという単純な繰り返しを考えます。安全在庫30個、1回の補充量100個なら、入荷直後は130個、次の入荷直前は30個、平均手持在庫の目安は30+100÷2=80個です。最大に近い水準130個と平均80個は別の値です。
これは説明用の単純モデルです。分納、需要変動、入荷遅延、季節在庫、輸送中の在庫があれば実際の平均は変わります。在庫ポジションと現場の手持在庫も区別してください。

在庫を決める4つの条件
| 条件 | 確認するデータ |
|---|---|
| 需要 | 販売・使用の見込み、季節性、欠品で記録されなかった需要 |
| 供給 | 発注から使用可能までの時間、遅延、分納、仕入先の休業 |
| 制約 | 最低発注量、荷姿、棚容量、賞味・使用期限 |
| 負担と影響 | 保管費、発注・配送費、廃棄、欠品による納期遅れや生産停止 |
在庫を減らしても、緊急輸送や発注回数が増えれば総負担が大きくなる場合があります。保管容量だけを基準にするのではなく、取引先へ約束する供給水準も整理します。
補充方法に合わせて設定する
発注点方式
在庫が基準に達したら補充を手配します。発注点は入荷までの予想需要と安全在庫を基に決め、発注量は別に設定します。発注残を無視して重複注文しない運用が必要です。
定期発注方式
一定の間隔で見直して補充量を決めます。次の確認までの期間と調達期間を見込み、発注済みの数量や未充足の需要を考慮します。週1回の確認と毎日の確認では、守るべき期間が異なります。
最小・最大の水準で管理する方式
最小水準を下回ったら最大水準まで補充する考え方です。実際の提案数量には発注残や最低発注量、発注単位などが影響します。最大値だけを現場の固定在庫目標にしないよう、使う数量の定義を確認します。
出典:Oracle Fusion Cloud SCM 26C:Min-Max Planning(2026年10月23日確認)
安全在庫と在庫回転率の役割
安全在庫は需要や納期の変動への備えです。在庫回転率は一定期間の販売・使用に対する平均在庫の比率です。どちらも判断に役立ちますが、それだけで適正な数量が決まるわけではありません。
回転の遅い保守部品でも、欠品時の影響が大きければ保有理由があります。一方、回転が速くても、頻繁な欠品や緊急輸送が起きていれば補充設計の見直しが必要です。
見直しは商品・拠点別に行う
- 商品コード、数量単位、在庫状態をそろえる。
- 需要と調達期間の実績を確認する。
- 欠品・過剰・滞留の原因を分ける。
- 補充方式と水準を決め、小さな範囲で試す。
- 在庫金額だけでなく、欠品・廃棄・配送費・作業負担を比べる。
月次などの定期確認に加え、販促、季節、仕入先変更があったときも見直します。全社合計では在庫が十分でも、売れる拠点にないことがあります。在庫移動を使う場合は移動費用と到着までの時間も考慮します。
システム選定では計算より先に記録を確認する
販売・購買・在庫を一元化する場合はキャムマックスなどが候補になります。在庫管理に使える10製品を比較し、発注残、引当、入出庫履歴、拠点別残高を確認できるか調べます。需要予測や自動発注が標準で含まれるとは限らないため、必要な機能と費用は別に確認してください。
まとめ
適正在庫は一つの万能な式ではなく、需要・供給・制約・費用に合わせて決める水準です。平均在庫、入荷直後の在庫、安全在庫を区別し、欠品と保有負担を確認しながら調整しましょう。







