棚卸表とは?
棚卸表は、特定の日時に実際に数えた在庫を記録し、帳簿の数量と照合するための表です。商品、保管場所、単位、数えた人を残すことで、差異が見つかった際に再確認できます。「棚卸シート」「棚卸リスト」と呼ぶ場合もあります。

日々の入出庫を継続して記録する在庫管理表に対し、棚卸表は基準時点の現物を確認する資料です。数量の確認表と、経理が単価を付けて金額を集計する表は、目的に応じて分けても構いません。作業全体の準備や締め方は棚卸の基本と手順で確認できます。
同じ棚に28個あるはずの商品を数えて25個だった場合、棚卸表には実数25個を記録します。帳簿へ合わせて28個と書き直すのではなく、3個の差について再計数と履歴確認を行います。表を完成させることより、数値の根拠を残すことが大切です。
棚卸表を作る前に決めること
| 決める項目 | 具体例 | 決めない場合に起きること |
|---|---|---|
| 基準日時 | 10月31日18時時点 | 作業者ごとに違う時点の数量を比べる |
| 対象範囲 | 第1倉庫の良品・保留品を区別して確認 | 返品や検品待ちが漏れる |
| 記録単位 | 個で統一。1ケース12個を換算する | 箱数と個数を合算する |
| 行の単位 | 商品×場所×ロット×状態 | 同じ商品が別の場所にあることを見落とす |
| 数える担当範囲 | 棚Aを担当者1、棚Bを担当者2 | 二重計数や未計数が発生する |
預かり品、外部倉庫の商品、移動中の商品、返品待ちなどは、現物の所在と自社の管理対象かどうかを分けて確認します。「倉庫にある物は全部自社在庫」と一括で扱わず、区分を表に残します。会計用の集計対象は経理担当と合わせてください。
棚卸表に必要な項目と書き方
| 項目 | 記入する内容 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 基準日時・実施日時 | 照合する時点と実際に数えた日時 | 作業が日をまたぐ場合は区別する |
| 商品コード・品名・規格 | A001/商品A/500ml | 似た品名でもコードで識別する |
| 倉庫・棚番 | 第1倉庫/A-01 | 棚の現物表示と同じ表記にする |
| 単位・ロット・状態 | 個/L001/良品 | 必要な区分ごとに別行へ記入する |
| 帳簿数量・実棚数量 | 28/25 | 基準日時をそろえ、実数はその場で書く |
| 差異数量 | 実棚数量−帳簿数量 | 符号の意味を表の注記に書く |
| 再計数・理由・処理 | 再計数25/出庫未入力/確認中 | 推測を確定した原因として書かない |
| 担当・確認者 | 計数担当、承認担当 | 誰がいつ確認したかを残す |
項目が多すぎると現場で記入しにくくなります。現場用にはコード・場所・単位・実数・担当などを載せ、単価や差異調査は管理用の表へ持たせる方法もあります。帳簿数に引きずられないよう、現場用の印刷表では帳簿数量を見せずに数える運用も選べます。
棚卸表の記入例
以下は説明用の架空例です。同じ商品でも場所が違えば別行にし、基準日時は全行で統一します。帳簿の数量を更新する前の状態として、差異理由は確認中のまま残しています。
| 商品コード | 棚番・単位 | 帳簿数 | 実数 | 差異 | 確認状況 |
|---|---|---|---|---|---|
| A001 商品A | A-01/個 | 28 | 25 | −3 | 再計数25。出庫履歴を照合中 |
| A001 商品A | B-02/個 | 12 | 12 | 0 | 確認済み |
| B002 商品B | C-01/箱 | 0 | 2 | +2 | 入荷記録を照合中 |
| C003 商品C | D-01/個 | 8 | 未入力 | 未算出 | 未計数 |
A001の合計は帳簿40個、実数37個ですが、調査は差異が出たA-01から始めます。商品単位の合計しか残さないと、別の棚への移動を見落とす可能性があります。また、商品Aの個数と商品Bの箱数を足した総数には管理上の意味がありません。単位をそろえるか、商品別に確認します。
Excelで棚卸表を作る手順
1.入力する列と計算する列を分ける
A列に商品コード、B列に品名、C列に棚番、D列に単位、E列に帳簿数量、F列に実棚数量、G列に差異数量、H列に確認状況、I列に担当者、J列に備考を配置します。日付・倉庫名・版番号は表の上部へ記載し、コピーした後も対象を判別できるようにします。
2.商品一覧を整えてから配布する
商品コードは先頭の0が消えないよう文字列として扱い、品名とコードの組み合わせを確認します。一行一明細とし、途中の空白行や結合セルを避けます。棚番順で並べ、現場で棚を回る順番と合わせると探す時間を減らせます。
3.入力欄を目立たせる
F列や担当者欄を淡い色にし、G列の数式は保護します。入力規則で数量を数値に、確認状況を「未計数・再確認・確認済み」などの選択肢に制限します。重量管理なら小数を許し、個数管理なら整数にするなど、商品の単位に合わせます。コピー操作なども含め、実際に誤入力を防げるか試してください。
参考:Microsoft:セルにデータの入力規則を適用する(2026年10月27日確認)
4.印刷と回収の方法を決める
見出し行を各ページに印刷し、ページ番号と担当範囲を付けます。列が多い表を無理に一枚へ縮小すると読みにくくなるため、現場用と集計用を分けます。配布した枚数と回収枚数を照合し、データ入力後も原票と修正理由を確認できるようにします。
棚卸表の差異を計算する方法
差異数量=実棚数量−帳簿数量と決めた場合、実数25個、帳簿28個なら25−28=−3個です。マイナスは帳簿より現物が少ない状態、プラスは多い状態を示します。会社で逆の符号を採用する場合も、表全体で統一してください。

E2を帳簿数量、F2を実棚数量としたとき、G2には次の式を入れます。数値が未入力のときに差異を計算せず、実数0を入力した場合は計算する例です。
=IF(AND(ISNUMBER(E2),ISNUMBER(F2)),F2-E2,"")E2が28、F2が25なら−3、F2が0なら−28、F2が空欄なら空欄になります。文字列の「25」は数値として判定されないので、外部データの取込み後は型を確認します。G2の式を下へコピーし、数式を値で上書きしていないかも点検してください。
参考:Microsoft:IS関数(2026年10月27日確認)
未計数が残った表で差異の合計だけを見ると、確認が終わっていない行が集計から漏れます。差異0の確認に加え、未計数の行がないかを確認状況で抽出します。金額を集計する場合は、数量の確定後に、採用している評価方法に沿った単価を経理側で確認します。販売価格をそのまま在庫評価に使う表にはしないでください。
空欄・ゼロ・訂正を扱うルール
| 状態 | 記録のしかた | 避けたい処理 |
|---|---|---|
| まだ数えていない | 実数は空欄、状態は未計数 | 空欄を一括で0に置き換える |
| 数えて在庫がなかった | 実数0、確認した人と日時を記録 | 0を空欄と同じ扱いにする |
| 予定にない商品を発見 | 別行へ追加しコード・場所を調べる | 既存の似た商品へ足す |
| 数え直して値が変わった | 元の値、再計数値、理由を残す | 元の値を消して経緯を失う |
紙では訂正前が読める形で修正し、電子表では変更履歴や版管理を残します。誰でも修正できる共有ファイルを一つ置くだけでは、誤操作への備えになりません。確認済みの版を保管し、修正の担当者と承認方法を決めます。
複数人・複数拠点で棚卸表を使う方法
担当は商品名だけでなく、棚や区画で割り当てます。同じ商品が複数の場所にあるため、商品単位の分担では重複や漏れが起きやすくなります。完了した棚へ目印を付け、未完了の区画が分かる進捗表を用意します。
拠点ごとにファイルを分ける場合は、列名とコード体系を共通にします。「第1倉庫」と「第一倉庫」のような表記揺れを防ぎ、集約時には商品・場所・ロット・状態を組み合わせて照合します。同じ商品コードの行を単純に重複削除しないでください。
棚卸中も入出庫がある場合は、数えた時刻と基準時刻の間の動きを別途記録して照合します。出荷を止められる範囲を決める、計数済みエリアへの移動を管理するなど、入出庫の記録ルールも合わせて整えます。
棚卸差異が出たときの確認手順
最初に再計数し、別棚・ケース内・保留場所を確認します。次に基準日時前後の入出庫、返品、移動、破損などの記録を照合します。原因が不明な段階で、すべてを紛失や廃棄と決めつけないことが大切です。
未入力の出庫が原因なら出庫記録を正しく直し、現物の不足として調整する場合は理由と承認を残します。同じ差異を出庫訂正と在庫調整の両方へ反映すると二重に減ってしまいます。在庫調整の進め方に沿い、反映後の残数まで確認してください。
棚卸表からシステム管理へ切り替える目安
転記に時間がかかる、未計数の把握が難しい、拠点別ファイルの結合で間違えるといった場合は、バーコード入力や棚卸進捗を共有できる仕組みが候補になります。例えばzaicoの公式案内では、棚卸の作業単位や結果の反映タイミングを設定できる仕組みが紹介されています。使える機能はプランで確認します。
参考:ZAICO:棚卸ワークスペースの案内(2026年10月27日確認)
導入時は表の列をそのまま移すだけでなく、商品・場所・単位を整理し、返品や未計数の扱いを実際に試します。日々の取引までつなぎたいならERP、現場の記録を中心にしたいなら在庫管理システムなど、在庫管理システムの選び方を参考に範囲を決めましょう。
棚卸表の作成・管理におすすめの業務システム5選
キャムマックスを先頭に、棚卸表の作成・管理に関連する業務を扱う製品を紹介します。掲載順は性能や価格の順位ではありません。各製品の対応範囲やプランを比較し、自社に必要な構成を選んでください。
キャムマックス
初期費用:100,000円
月額費用:90,000円~
税抜。初回1ライセンス・5アカウント。生産管理・外部連携等は別料金。
キャムマックスは、販売・購買・在庫・倉庫・会計を一元管理するクラウドERPです。現物の在庫記録だけでなく、受注・仕入・請求まで同じデータでつなぎたい企業に向きます。
比較のポイント:初回1ライセンス・5アカウント。生産管理・外部連携等は別料金。
出典:キャムマックス 公式情報(2026年10月29日確認)
クラウドトーマス
初期費用:個別見積
月額費用:個別見積
製品構成、端末、倉庫、連携、個別開発・導入支援を含めて見積もり。
クラウドトーマスは、物流現場の入出荷・在庫・棚卸を管理するWMSです。保管場所やバーコードを使って作業を記録し、OMS・基幹システムとCSV/APIで連携。現行の製品構成では、クラウドトーマスProなどから業務規模と必要な個別対応に合わせて選びます。
比較のポイント:製品構成、端末、倉庫、連携、個別開発・導入支援を含めて見積もり。
出典:クラウドトーマス 公式情報(2026年10月23日確認)
LOGILESS(ロジレス)
初期費用:0円
月額費用:20,000円~
税抜。EC事業者向けライト。1倉庫・月300出荷まで。超過・オプション別。
LOGILESSは、ECの受注管理(OMS)と倉庫管理(WMS)を一体化したクラウドサービスです。受注処理から出荷指示までをつなぎ、在庫・ロケーションを管理し、倉庫の対応条件に応じてロット・期限を記録します。期限超過だけでは通常、自動的に引当対象から外れないため、出荷制御の設定を確認します。料金は基本料金と出荷件数に応じた従量料金で決まります。
比較のポイント:EC事業者向けライト。1倉庫・月300出荷まで。超過・オプション別。
出典:LOGILESS(ロジレス) 公式情報(2026年10月29日確認)
zaico
初期費用:個別見積
月額費用:0円/有料8,980円~
税抜。無料は人数・機能制限あり。有料スターターはフル3名・閲覧10名。
zaicoは、スマートフォンとパソコンで在庫数・入出庫・棚卸を管理するクラウドサービスです。無料プランのほか、スターターは月額8,980円、ベーシックは月額49,800円(税抜)。ロット・期限管理や複数拠点管理はプランで異なります。
比較のポイント:無料は人数・機能制限あり。有料スターターはフル3名・閲覧10名。
出典:zaico 公式情報(2026年10月29日確認)
アラジンオフィス
初期費用:個別見積
月額費用:個別見積
業種別機能、導入形態、人数、カスタマイズ、保守で変動。
アラジンオフィスは、販売・購買・在庫を中心に企業の取引業務を管理するパッケージシステムです。業種別の機能やカスタマイズに対応。出荷指示・ロット管理・会計連携などはオプションを含めて構成を選びます。
比較のポイント:業種別機能、導入形態、人数、カスタマイズ、保守で変動。
出典:アラジンオフィス 公式情報(2026年10月23日確認)
まとめ
棚卸表は、数量を書くだけでなく、いつ・どこで・誰が確認したかを残す資料です。商品と場所ごとに実数を記録し、空欄と0を区別して差異を確認しましょう。複数拠点の集約や転記が負担になっている企業は、表の設計と運用ルールを整えたうえでシステム化を検討すると、改善したい作業が明確になります。




