電子請求書とは?

電子請求書とは、請求内容を電子データとして作成し、メールやWebサービスなどで相手に渡す請求書です。印刷して郵送する代わりに、PDFを送ったり、専用画面から受け取ってもらったりします。月末の封入・発送を減らしたいときや、離れた拠点でも請求内容を確認したいときに役立ちます。

電子請求書とは?

ただし、電子化は送付方法を変えるだけでは完結しません。作成した請求書の承認、相手への案内、送付できなかった場合の対応、受領後の保存までを一つの流れとして整える必要があります。ファイルが存在することと、正しい相手に届けて後から確認できることは別です。

請求書の発行から入金確認までの全体像は、請求管理の業務フローでも整理しています。ここでは電子化する際の方式と運用に焦点を当てます。

PDF・Web発行・デジタルインボイスの違い

電子請求書という言葉には、見た目が紙と同じPDFから、システム間で処理するデータまで含まれます。どの方法を選ぶかで、相手の受取り方と自社に残る作業が変わります。

方式やり取りの例確認したい点
PDFをメール送付請求書ファイルを添付する宛先、添付する版、保存先
Webサービスで発行通知を受けた相手が画面から取得するログイン、閲覧期限、未取得への対応
構造化データで連携金額や取引先などをシステムが取り込む対応する仕様、項目、連携後の確認

デジタル庁が管理するJP PINTは、Peppolを基にした日本のデジタルインボイスの標準仕様です。PDFを送るだけの運用と、標準化されたデータを連携する運用は区別して考えます。「電子請求書対応」という表示だけでは、JP PINTへの対応まで分かりません。

参考:デジタル庁:JP PINT(2026年10月28日確認)

受け取ったPDFから手入力しているなら、送付は電子化できても転記は残っています。まず郵送を減らすのか、さらに会計への入力を減らすのか、目的を分けると必要な仕組みを選びやすくなります。

電子請求書を導入するメリット

印刷・封入・発送の手間を減らせる

電子送付に切り替えた取引では、印刷や封入、投函といった作業を減らせます。月末に発送作業が集中する企業では、担当者の時間を確認や未処理案件への対応へ振り向けやすくなります。ただし、紙を希望する相手が残る場合は、送付方法別の管理も必要です。

担当者や拠点をまたいで確認しやすい

保存場所と閲覧権限を整えると、担当者の机にある書類を探さずに確認できます。問い合わせを受けた営業と経理が同じ請求番号で書類を見られれば、金額や対象期間の照合も進めやすくなります。個人のメールボックスだけに保存する運用では、この効果は得にくくなります。

処理状況を追いやすくなる

作成中、承認待ち、送付済み、未入金などを分けて管理すれば、未処理の案件を絞れます。使うサービスによって把握できる状態は異なるため、「送信済み」が受領や支払完了を意味するわけではない点に注意します。

電子請求書を導入する前の注意点

最初に取引先の受領方法を確認します。経理の共有アドレスへ送る、指定ポータルへ登録する、注文番号を明細に付けるなど、相手先の運用に条件があるためです。自社の都合だけで一斉に切り替えると、請求書を受け取った担当者が処理できず、確認の往復が増えることがあります。

送付先の変更も管理対象です。営業担当者の連絡先と請求書の送付先は必ずしも同じではありません。変更の連絡を受けたら、登録情報、変更日、確認者を記録します。毎月メール履歴から宛先をコピーする運用は見直しましょう。

また、システムの利用料だけでなく、設定、既存データの整理、取引先への案内、運用後の問い合わせ対応も必要です。単に「郵送料がなくなる」と考えず、新たに増える確認作業も含めて評価します。

電子請求書を発行・受領する基本の流れ

工程発行側の作業受領側の作業
内容確定明細、請求先、対象期間を確認発注・納品情報を整理
確認・送付承認後に確定版を送る通知や受信先を確認
照合未送付やエラーを確認取引内容、金額、重複を確認
保存・後続処理送付した版と記録を残すデータを保存し承認・支払へ回す

例えば月末締めの請求なら、明細の確定日、承認期限、送付日を決めます。承認が遅れた案件は保留理由と担当を付け、送付可能なものと混ぜないようにします。メールの送信エラーやWeb通知の不達を誰が確認するかも決めておきます。

受領側は、取引先名だけでなく請求番号、対象期間、金額などを照合し、同じ請求の二重処理を防ぎます。再送されたファイルを新しい請求と勘違いしないよう、受信回数と請求件数を分けて扱うことが大切です。

電子請求書の保存で押さえること

所得税・法人税の保存義務者が電子取引で授受した請求情報は、電子データでの保存が必要です。PDFを印刷するだけでデータを削除する運用にはしません。国税庁は、真実性・可視性を確保するため、改ざん防止、検索、見読可能な環境などの要件を示しています。

改ざん防止にはタイムスタンプ以外にも、訂正削除の履歴が残るシステムや、訂正削除防止の事務処理規程を備えて運用する方法があります。具体的な要件や適用される特例は自社の条件で確認します。保存期間も一律に決めず、該当する税法上の義務に合わせます。

参考:国税庁:電子帳簿保存法一問一答・電子取引関係(令和8年7月)(2026年10月28日確認)

運用面では、誰が保存するか、どこへ保存するか、不足をいつ確認するかを決めます。サービス上に置く場合も、退職者のアカウントだけで管理しないこと、解約後の出力方法、データ移行時の扱いを事前に確認しましょう。

訂正・再発行・送付エラーを管理する

誤りが見つかったら、請求番号と対象取引、誤った箇所、訂正理由を記録し、承認者へ回します。ファイル名だけを変えて送り直すと、相手がどちらを処理すべきか分からなくなるため、旧版との関係と処理してほしい版を明確に伝えます。

送付済みの請求を訂正した場合は、相手側で支払処理が進んでいないかも確認します。自社の会計や債権管理へ連携している場合には、訂正がどこまで反映されるかを確かめます。書類の修正だけで後続データも直るとは限りません。

単なる再送と金額変更を伴う訂正も分けます。送信に失敗した一件を処理するために全件を再送すると、重複や問い合わせが増えます。未送付一覧から対象を確認できる手順を用意してください。

電子請求書の導入を進める手順

  1. 月の件数、送付方法、取引先の条件を一覧にする。
  2. 削減したい作業と残す確認を決める。
  3. 対象取引先を絞り、送付・受領方法を調整する。
  4. 通常の請求と訂正・不達のケースを試す。
  5. 切替日、担当、保存先を決めて運用を開始する。
  6. 未送付や問い合わせ、作業時間を振り返る。

試行中は、新旧どちらを本番の送付元とするかを一つに決めます。確認用に作った請求書を誤って送らないよう、試験データと本番データを分けましょう。切替前に発行した未回収の請求をどちらで追うかも決めておくと、月をまたぐ確認が混乱しにくくなります。

案内には開始時期、受領方法、問い合わせ先を含めます。担当変更や通知先の不備があった場合の連絡方法も用意し、初回送付後に問題がなかったか確認します。改善全体の進め方は請求管理を効率化する方法も参考になります。

電子請求書システムを選ぶポイント

比較するときは発行と受領のどちらが課題かを分けます。作成・送付を支援する製品と、届いた書類の取込み・承認を支援する製品では重点が異なります。両方を一つで扱う場合も、実際の対象範囲を確認します。

確認項目は、必要な送付方式、承認、権限、訂正記録、保存・検索、会計連携、件数条件、データ出力です。既存の販売管理システムの機能と重なる部分も整理し、同じ取引先や明細を二重管理しない構成を考えます。

比較用には、実際に使う明細項目を含むサンプルを準備します。通常発行に加え、宛先変更、再送、金額訂正、解約時の出力まで試すと、導入後に残る作業を確認しやすくなります。

電子請求書の発行におすすめの業務システム5選

キャムマックスを先頭に、電子請求書の発行に関連する業務を扱う製品を紹介します。掲載順は性能や価格の順位ではありません。各製品の対応範囲やプランを比較し、自社に必要な構成を選んでください。

ERP

キャムマックス

初期費用:100,000円

月額費用:90,000円~

税抜。初回1ライセンス・5アカウント。生産管理・外部連携等は別料金。

電子請求書の発行におすすめの業務システム5選

キャムマックスは、販売・購買・在庫・倉庫・会計を一元管理するクラウドERPです。現物の在庫記録だけでなく、受注・仕入・請求まで同じデータでつなぎたい企業に向きます。

比較のポイント:初回1ライセンス・5アカウント。生産管理・外部連携等は別料金。

出典:キャムマックス 公式情報(2026年10月29日確認)

請求管理

freee請求書

初期費用: 各プラン0円 / 無料: 基本料金0円 / スタンダード: 年額23,760円(月額換算1,980円) / アドバンス: 年額120,000円(月額換算10,000円) / 一括発行の送信料金: 有料プランで年額57,000円~(月額換算4,750円~)

電子請求書の発行におすすめの業務システム5選

freee請求書は、請求書などの個別発行から一括送付、債権管理までを段階的に導入できるサービスです。無料・スタンダード・アドバンスで対応範囲が異なります。

出典:freee請求書 公式情報(2026年10月23日確認)

請求管理

Misoca

初期費用0円。無料プランは請求書月10通。通常年額:プラン15は8,800円、100は33,500円、1000は114,000円(税抜)。郵送等は別料金。

電子請求書の発行におすすめの業務システム5選

Misocaは、見積書・納品書・請求書・領収書を作成し、送付や入金状況を管理するクラウドサービスです。月10通までの請求書を作成できる無料プランがあり、有料プランは通数と同時利用人数で選びます。

出典:Misoca 公式情報(2026年10月23日確認)

請求管理

INVOY

Free: 0円 / Standard・月払い: 980円/月(税込) / Standard・年払い: 9,800円/年(税込) / 初期費用・個別サービス: 契約条件は個別見積

電子請求書の発行におすすめの業務システム5選

INVOYは、請求書の作成・メール送信・受取管理を行うクラウドサービスです。無料プランで定期請求を利用でき、有料のStandardでは口座自動連携と資金繰り表も使えます。

出典:INVOY 公式情報(2026年10月23日確認)

請求管理

マネーフォワード クラウド請求書

初期費用: 0円 / ひとり法人: 年払い29,760円(2,480円/月相当)/月払い3,980円 / スモールビジネス: 年払い53,760円(4,480円/月相当)/月払い5,980円 / ビジネス: 年払い77,760円(6,480円/月相当)/月払い7,980円

電子請求書の発行におすすめの業務システム5選

マネーフォワード クラウド請求書は、見積・納品・請求・領収の帳票作成と送付をまとめるクラウドサービスです。法人向けは利用人数と一括作成の必要性でプランを選びます。

出典:マネーフォワード クラウド請求書 公式情報(2026年10月23日確認)

まとめ

電子請求書は、印刷・郵送を減らし、離れた場所でも請求内容を確認しやすくする方法です。月末の発送負担が大きい企業や、複数拠点で書類を確認する企業に向いています。送付方式だけでなく、相手の受領条件、訂正、保存、後続処理まで整え、少数の取引から試して広げましょう。