ABC分析とは?
ABC分析とは、商品や部品を売上高・使用金額などの指標で大きい順に並べ、累積構成比を基にA・B・Cへ分類する分析方法です。在庫管理では、確認や発注判断にかける手間の優先順位を決めるために使います。
A・B・Cの境界は目的に合わせて設定します。「品目数の上位20%を必ずAにする」という固定ルールではありません。また、分類しただけで在庫が減ったり欠品がなくなったりするわけではなく、発注・棚卸・例外確認の方法へ落とし込むことが必要です。
出典:Microsoft Learn:ABC Analysis(2026年5月更新)

最初に決めるのは「何を基準に比べるか」
同じ商品でも、売上・粗利・使用金額・保有在庫金額のどれを見るかで順位は変わります。目的の違う数字を一つの表で混ぜず、対象期間、商品単位、金額の計算方法をそろえます。
| 見たいこと | 指標の例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 売上への貢献 | 対象期間の商品別売上高 | 利益の大きさとは一致しない |
| 利益への貢献 | 対象期間の商品別粗利額 | 粗利率だけで順位を決めない。赤字品は別途確認 |
| 部品・資材の消費規模 | 対象期間の使用数量×評価単価 | 期間中の使用金額であり、現在庫金額ではない |
| 在庫に投じている資金 | 基準日の在庫数量×評価単価 | ある時点の残高。期間の売上・使用金額とは区別 |
例えば、年間に多数使う安価な部品と、少量だけ使う高価な部品は、数量の順位と金額の順位が異なります。金額のAランクを、そのまま「販売数量が多い商品」や「需要が安定した商品」と読み替えないことが大切です。
出典:Zoho Inventory:ABC analysis in inventory management(2026年9月公開)
ABC分析の計算例:5商品を分類する
以下は計算の仕組みを示す架空の売上データです。合計売上は100万円。ここでは累積構成比が80%以下をA、80%超~90%以下をB、90%超をCと決めます。
- 同じ期間の商品別売上を集計する。
- 売上の大きい順に並べる。
- 各商品の構成比と、上からの累積構成比を計算する。
- 決めた境界で分類し、管理方法へ反映する。
構成比=商品別売上÷全商品の売上合計×100
累積構成比=上位からその商品までの売上合計÷全商品の売上合計×100
| 商品 | 売上 | 構成比 | 累積構成比 | 分類 |
|---|---|---|---|---|
| 商品1 | 50万円 | 50% | 50% | A |
| 商品2 | 30万円 | 30% | 80% | A |
| 商品3 | 10万円 | 10% | 90% | B |
| 商品4 | 7万円 | 7% | 97% | C |
| 商品5 | 3万円 | 3% | 100% | C |
Aは2品目で売上の80%、Bは1品目で10%、Cは2品目で10%です。品目数の割合は40%・20%・40%になり、「20%・30%・50%に分ける」とは異なります。
実務では境界をまたぐ商品や同額の商品が出ます。境界をまたいだ商品を上位群に含めるか、同額品を同じ群にするかを先に決め、担当者や集計月によってルールが変わらないよう記録します。比率は例であり、必ず80%・90%にする必要はありません。
Excelで計算する場合
A列に商品名、B列に売上を入力し、2~6行を売上の降順に並べた場合、C2へ=B2/SUM($B$2:$B$6)、D2へ=SUM($B$2:B2)/SUM($B$2:$B$6)を入力して下へコピーします。C・D列の表示形式をパーセントにしてください。
この例の分類はE2へ=IF(D2<=80%,"A",IF(D2<=90%,"B","C"))を入力します。合計が0の場合は構成比を計算できません。返品や赤字などで負の値がある場合も、通常の累積比率で分類する前に集計方法を見直します。
A・B・Cで管理方法をどう変えるか
| 分類 | 運用の例 | 併せて見る条件 |
|---|---|---|
| A | 在庫差異や欠品兆候を重点確認。発注量をこまめに見直す | 需要変動、調達期間、発注単位、欠品時の損失 |
| B | 標準の補充ルールで運用し、順位変動や例外を定期確認 | 季節性、取引先の変化、Aへの移行 |
| C | 定型処理や補充方法を簡素化し、管理工数を抑える | 重要部品、使用期限、保管スペース、最低発注数量 |
これは運用設計の例です。Cランクでも、欠けると生産が止まる部品や、契約上供給を続ける保守部品があります。Cだから不要、大量に持ってよい、欠品してもよいとは判断できません。安全在庫や発注点は、需要のばらつきと調達期間を別に見て決めます。
分類結果は、在庫管理システムの比較で紹介するような在庫・入出庫データの管理とつなげると見直しやすくなります。ただし、システムにABC分析の標準機能があるか、CSV出力して分析する構成かは製品ごとに確認が必要です。
ABC分析だけでは分からないこと
ABC分析が示すのは、選んだ指標に対する貢献の大きさです。需要が安定しているか、今後も売れるか、在庫が古くなっているかまでを一度に判断する手法ではありません。
- 季節商品・新商品:短い期間だけを見ると、繁忙期前の商品や発売直後の商品を低く評価しやすくなります。
- 重要部品:金額が小さくても供給停止の影響が大きい品目は、重点管理の対象として別に指定します。
- 滞留在庫:売上が少ない理由が、販売終了なのか欠品なのかを区別します。
- 利益:売上が大きくても、値引きや原価によって利益が小さい場合があります。
入庫日の順番で在庫を払い出すFIFO・LIFOの考え方と、ABC分析による管理の優先順位は別の軸です。期限やロット、需要変動などと組み合わせて使います。
ABC分析に使う在庫・販売データ管理におすすめの業務システム5選
キャムマックスを先頭に、ABC分析に使う在庫・販売データ管理に関連する業務を扱う製品を紹介します。掲載順は性能や価格の順位ではありません。各製品の対応範囲やプランを比較し、自社に必要な構成を選んでください。
キャムマックス
初期費用:100,000円
月額費用:90,000円~
初回1ライセンス・5アカウント。生産管理・外部連携等は別料金。
キャムマックスは、販売・購買・在庫・倉庫・会計を一元管理するクラウドERPです。現物の在庫記録だけでなく、受注・仕入・請求まで同じデータでつなぎたい企業に向きます。
比較のポイント:初回1ライセンス・5アカウント。生産管理・外部連携等は別料金。
出典:キャムマックス 公式情報(2026年10月23日確認)
アラジンオフィス
初期費用:個別見積
月額費用:個別見積
業種別機能、導入形態、人数、カスタマイズ、保守で変動。
アラジンオフィスは、販売・購買・在庫を中心に企業の取引業務を管理するパッケージシステムです。業種別の機能やカスタマイズに対応。出荷指示・ロット管理・会計連携などはオプションを含めて構成を選びます。
比較のポイント:業種別機能、導入形態、人数、カスタマイズ、保守で変動。
出典:アラジンオフィス 公式情報(2026年10月23日確認)
クラウドトーマス
初期費用:個別見積
月額費用:個別見積
製品構成、端末、倉庫、連携、個別開発・導入支援を含めて見積もり。
クラウドトーマスは、物流現場の入出荷・在庫・棚卸を管理するWMSです。保管場所やバーコードを使って作業を記録し、OMS・基幹システムとCSV/APIで連携。現行の製品構成では、クラウドトーマスProなどから業務規模と必要な個別対応に合わせて選びます。
比較のポイント:製品構成、端末、倉庫、連携、個別開発・導入支援を含めて見積もり。
出典:クラウドトーマス 公式情報(2026年10月23日確認)
LOGILESS(ロジレス)
初期費用:0円
月額費用:20,000円~
EC事業者向けライト。1倉庫・月300出荷まで。超過・オプション別。
LOGILESSは、ECの受注管理(OMS)と倉庫管理(WMS)を一体化したクラウドサービスです。受注処理から出荷指示までをつなぎ、在庫・ロケーション・ロット・賞味期限も管理。料金は基本料金と出荷件数に応じた従量料金で決まります。
比較のポイント:EC事業者向けライト。1倉庫・月300出荷まで。超過・オプション別。
出典:LOGILESS(ロジレス) 公式情報(2026年10月23日確認)
zaico
初期費用:個別見積
月額費用:0円/有料8,980円~
無料は人数・機能制限あり。有料スターターはフル3名・閲覧10名。
zaicoは、スマートフォンとパソコンで在庫数・入出庫・棚卸を管理するクラウドサービスです。無料プランのほか、スターターは月額8,980円、ベーシックは月額49,800円(税抜)。ロット・期限管理や複数拠点管理はプランで異なります。
比較のポイント:無料は人数・機能制限あり。有料スターターはフル3名・閲覧10名。
出典:zaico 公式情報(2026年10月23日確認)
まとめ
ABC分析は、指標をそろえ、金額順に並べ、累積構成比を計算して管理の優先順位を決める方法です。品目数の割合やA・B・Cの境界は固定ではありません。分類結果に需要変動・調達期間・欠品時の影響を重ね、発注や棚卸の方法を具体的に変えることが大切です。




